
「短い時間にずいぶんといろいろ考えているのね。」
「うん。思考のボリュームと時間はあまり関係ないからね。僕のイメージでは脳内に色々な言葉や図像やそれ以外の何かが瞬 間的に立ち上がるのだけど、それを後から紐解くみたいに言葉や思考が追っかけて行く感じなんだ。ま、それはそうとこのぼやっとした曖昧な質感がいいと思ったのは、例えば杉本博司のアウトフォーカスな建築写真のシリーズ注5と共通するところがある。この建築シリーズは建物をアウトフォーカスすることで建築家の最初にイメージした図像を 引き出そうとしている(と思う)。注6 このHetHの写真もアウトフォーカスすることでイメージの核心を浮かび上がらせようとしている のじゃないかと思ったんだ。そのイメージの核心というのは個人を撮影していながら同時にアノニマスな人であって欲しいという矛盾した感覚を表現したかったのでは、とかね。そして焼け焦げた写真は写真の物質性をより強調して いる。写真は印画紙上に結像した映像を定着させたもので、印画紙と図像は切っても切れないんだけど、通常はその図像が主 に見られる事になる。印画紙の質感も含んでの図像なんだけどね。彼らは印画紙を焼く事によってその写真の物質性を強く打ち出している。」
注5:杉本博司 現代美術家 写真家。東京及びニューヨークを活動の拠点としている。作品は厳密なコンセプトと哲学に基づき作られている。 8×10の大判カメラを使い、照明や構図や現像なども完璧な仕上がりは技術的にも評価されている (wikipediaより引用 2012/9/30 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%89%E6%9C%AC%E5%8D%9A%E5%8F%B8)
注6:彼らは写真の印画紙と感光乳剤そのものから作っていたという。その生成プロセスが原始的なため、印画紙の性能が 安定せず、結果的にこ うな画像となったようだ。 しかしそのシャープネスを失った(というかもともと無い?) 写真そのものを狙っていたらしい。 事実この後に富士フィルムから提供されたプロ用の感光乳剤では「はっきり写り過ぎてしまう」と語っている
注6:彼らは写真の印画紙と感光乳剤そのものから作っていたという。その生成プロセスが原始的なため、印画紙の性能が 安定せず、結果的にこ うな画像となったようだ。 しかしそのシャープネスを失った(というかもともと無い?) 写真そのものを狙っていたらしい。 事実この後に富士フィルムから提供されたプロ用の感光乳剤では「はっきり写り過ぎてしまう」と語っている