“the appearance” – a conversation ある観客の会話
「これは何かしら?」少し苛ついたような口調で彼女は尋ねた。
「何って、いわゆる写真、現代美術作品といってもいいかもね。」
「作品だっていうのは見ればわかるわ。何故これを私に見せたの?という意味よ。」
「気に入らなかった?」
「そんなんじゃない。これは、綺麗だけど何か人を不安にさせるわ。」
「ふむ。。」
「なんだろう、怖いような、何て言ったらいいのか。」
「いや、それは全くおかしくはないよ。むしろとてもいい傾向だと思う。」
「傾向?」
「なんというか、不安感は未知のモノに対峙したときに起こるものだし、それに素直に反応できる事は生体としては 重要な事だと思うよ。」
「 . . . . . 」
「僕はこの作家を知らなかったんだけど、偶然展覧会のDMを目にしてとても興味をひかれたんだ。理由は分からないけど、とても強くね。だから、実際に目にする時に誰かと共有したいと思ったんだ。たとえば映画を見た直後に、その映画について誰かと話したくなるじゃない。たぶんそうなりそうな気がしたんだ。」